新聞における人工知能の倫理・法・社会的問題の語られ方〜トピックモデリングによる潜在的トピック分類

早稲田大学政治経済学部ゼミ生の卒業論文概要書です。

Author: T.A. (2020年3月卒業)

概要

人工知能は社会に便益をもたらす技術として期待される一方、その倫理・法・社会的な問題(ELSI)への懸念も示されている。科学技術の不確実性が増大し、公共の問題として人工知能の社会受容のあり方が議論される中では、メディアの報道が公衆の科学技術に対するイメージを形づくり、科学技術の方向性に影響を与える。本稿では、人工知能の倫理・法・社会的な問題が、伝統的なマスメディアである新聞においてどのように語られているのかを明らかにするために、トピックモデリングによる新聞記事の潜在的なトピック分類および記事の内容分析を行った。結果として、人工知能は進歩史観的な立場と規制を求める立場の双方から報道されており、また経済、倫理・法・社会、教育、研究、宗教などの観点から語られていることが明らかになった。ゆえに、新聞は人工知能の問題についてストレートニュースを報じるだけでなく、人々の意見を多様な観点から積極的に報じているといえる。人工知能の問題により多くの人が向き合い、適切に社会に受容していくために、今後はこうした議論をインターネットメディアなどの新聞以外の場に広げていくことが求められる。

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