本ラボを修了した、早稲田大学大学院 政治学研究科ジャーナリズムコース 修士課程修了生の論文概要書です。
Author: C.M. (2020年3月修了)
概要
ソーシャル・メディアのハッシュタグを活用したオンライン運動がフェミニズム運動の拡散に新たなルートを提供している。特に、ツイッター上では#MeTooのようなハッシュタグ・フェミニズム運動が世界中の国々で起きている。セクハラ告発の#Metoo運動はあまり日本で広がらなかったが、#Metoo運動に基づいて、「KuToo」という「MeToo」に「靴」、「苦痛」を加えた造語の#KuToo運動が2019年に注目を集めた。#KuToo運動は、グラビア女優の石川優実がソーシャル・メディアのTwitter上で提起した「パンプスやヒールなど、女性のみを強制的着用させるのは性差別、もしくはジェンダーハラスメントに当たり、禁止する法規定をつくってほしい』との訴えた運動である。
本研究は、#KuToo運動にめぐっての議論を事例として、「フェミニズム運動」の第四波と考えられる「ハッシュタグ・フェミニズム運動」が日本でいかに進行しているのかを明らかにするため内容分析を行なった。本稿の考察結果はツイッター・データの分析結果をもとに以下のように述べた。
まずは、#KuToo運動が主にジェンダー、職場、健康、靴、石川優実への評価などの話題をめぐって議論された。そのうち、ジェンダー、職場、靴に関するトピックスが最も論争の中心になった。#KuToo運動への意見が以上の話題をもとに賛否両論に分けられ、賛成派と反対派の論争することで分極化が生じた。具体的に運動を「労働環境を変える」、「社会が良くなる」、「自由選択の権利がある」と積極的に捉える人がいる同時に「差別の捏造過程」、「論争を煽るだけ」、「売名行為」などネガティヴな発言に分極されていた。
次に、量的な検証を加えて代表例をあげながら各意見の特徴を説明しながら、盛り上がった内容がどのような特徴があるのかまた何による影響されているのかを解明した。数量から見ると最も議論される話題がジェンダーであったが、リツイート数から見ると足の健康問題においてニュートラルな発言が一番注目される話題である。議論するうち、賛否にも関わらずフェミニズムに関する話への抵抗する傾向が見られる。
最後は、日本におけるフェミニズムに与える影響を考察した。#KuToo運動がもたらした影響と運動の不足に関する客観的に論じた。#KuToo運動の内容分析を通じて日本におけるツイッター上でのフェミニズム運動の可能性を検討し、将来に新たなフェミニズム運動の展開が期待される。