概要
新型コロナウイルス(COVID-19)は社会的・経済的に大きな混乱をもたらしている。一方でWHOのテドロス事務局長は、感染病だけでなく事実と共に噂や憶測が入り交じり拡散されていくインフォデミックとの戦いとも明言した。これはソーシャルメディアの発展が加速させている状況でもある。日本では「PCR検査」に対するインフォデミックが起きていた。例えば韓国などの外国諸国と比較して検査数が少ないという事実から様々な憶測や情報が拡散されていた。しかしその動向の全貌は明らかではない。そこで本稿ではTwitterにおいて「PCR検査」に関連する議論がどのように変遷したのかを明らかにすることでリスク下におけるソーシャルメディアの役割や、インフォデミックとの向き合い方を示唆する一例を提示する
分析対象は2月下旬から8月までの「PCR検査」に関する191,33,048 Tweetである。そして4つの分析手法から対象期間を3つの時期に「期分け」した。さらに実際のTweet内容に触れ、retweetネットワークを参照しながら各時期を考察した。その結果テレビメディアと「医療関係者」の相容れない多様な情報が議論を複雑化したことも確認できた。ソーシャルメディアは互いに反発する情報も同時に拡散させるため、大局的な視点で情報を取捨選択する必要がある。それはインフォデミックとの向き合い方を示唆している。