放射線パンフレットにおけるリスクメッセージの描かれ方

早稲田大学政治経済学部ゼミ生の卒業論文概要書です。

Author: M.M. (2021年3月卒業)

 福島第一原子力発電所での事故により、それまで多くの人々にとって身近ではなかった放射線がもたらすリスクが、様々な場で議論されるようになった。リスクコミュニケーションにおいて伝えられるリスクメッセージは、その情報表現の仕方により、人々のリスク認知に大きな影響を与える。本稿では放射線パンフレットにおいて、放射線のリスクメッセージがどのように描かれているかを明らかにするべく分析を行った。
 分析は福島第一原子力発電所事故の前後に発行・配布された放射線パンフレット36冊を対象に行った。筆者を含む3名によるコーディングの後、階層的クラスター分析を行った。
 結果として、放射線パンフレットを<商用としての原子力発電広報型>、<主体的判断促進型>、<エビデンス説得型>、<知識啓蒙型>の4タイプに分類することができた。
 以上の研究を通じ、放射線のパンフレットにおいて、同じリスク情報でも送り手の意図するメッセージにより、その表現には差異が生まれ、パターンに分類できることが明らかになった。本研究の成果により、一般の人々がパンフレットを手にする時、そこに組み込まれたメッセージを主体的に見つめ直す機会となることを期待する。

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